Patisserie KARAN
二つのファサードを持つ草屋根のケーキハウス
京都市内に建つケーキショップである。店舗スペースが入る平屋部分
の屋根は、開業当初からのオーナーの夢であり、店のロゴマークにも
用いられている草屋根のイメージが追求されている。敷地は東と南の
二面が道路に面した角地であり、大通りに面した東面ファサードは、
曲面を描く杉板貼の外壁の中にサッシュレスのシンプルな出窓が設け
られ、店舗の暖かな雰囲気が街並みに滲み出ることを意図している。
大きな壁面を持つ南面のファサードには、駐車スペースの背景として
リズミカルなガラスブロックの開口が連続する。それらは原型的な家
の窓のアイコンとしての正方形の窓をイメージしており、店舗と住ま
いという二つの機能要素を調停し、連続させている。二つのファサー
ドが出会うコーナー部分には、クライアントのイメージに従ったシリ
ンダーがエントランスのアイキャッチとして置かれており東面の曲面
壁のイメージを踏襲しながら、同時に南面ファサードの端部を引き締
める要素として位置付けられている。店舗の内部には集成材の登り梁
が現されており、力強くもさりげない木の空間が目指されている。
一つひとつは柔らかで親しみ易い素材や形態を用いながら、スイーツ
の店舗としてのデコラティブでステレオタイプなイメージに耽溺して
しまわぬよう、建築としての矜持を保つことが慎重に探求されている。
■計画地 ：京都市
■構造・規模：木造 F２
■建築面積 ：２３４．６４㎡
■延床面積 ：３３４．２１㎡
□設計期間 ：H.２３．１１ ～ H.２４．０５
□工事期間 ：H.２４．０６ ～ H.２４．１１
ＷＯＲＫＳ