House in Kitaoji・F
くらしの記憶を新たな形で昇華する住まい
京都市内に建つ戸建て住宅のフルリノベーションである。 路地という軸
線の正面に建つ建築として、視線を受け止める正面性を感じさせるファ
サードとした。クライアントの要望は、玄関や階段、浴室・洗面・WC
等の水回りと寝室の位置においては 従前の平面をあまり変えないこと
であったが、キッチンの位置は南に配置替えすることと新たに音楽練習
用の防音ユニット室が求められた。この方向に従い、既存の軸組構造体
を極力残しつつ基礎や耐力壁の補強を行い、従前の平面構成を下敷きに
しながらも平面・断面の双 方で各スペースにつながりを持たせ、日常の
中に新たな体験を生み出すことを主眼とした。 玄関から廊下・階段へと
続く空間は、その上部をロフトまで３層を貫く吹抜に改変し、南面 に大
きな開口を設け、建物奥へと自然光を導きながら断面的にも重力換気を
促進している。各室の建具開口においては引戸や障子、欄間を多用し、
状況に応じた視線と通風のコントロ ールを可能にしている。これらは伝
統的な町家の構成を参照しつつ、ここでの住まい方に適 用したものであ
る。ガルバリウム鋼板とアルミルーバーで覆われた南面は、既存軸組か
ら 250 ㎜持ち出すことで、背後に空気層を設け夏季の厳しい日射に対処
するとともに、壁面とバルコニー手摺壁や玄関庇、ルーバーを連続的に
一体化して、正面性を持つ強いファサードを生み出している。
■計画地 ：京都市左京区
■構造・規模：Ｗ造・Ｆ２
■建築面積 ： ８１．３１㎡
■延床面積 ：１４８．６４㎡
□設計期間 ：R.０３．０６ ～ R.０４．０５
□工事期間 ：R.０４．０６ ～ R.０５．０２
ＷＯＲＫＳ