House in Nishigamo・F
場所に根差した集いの空間
京都市の北部に計画された木造住居である。東には賀茂川、西には山並
がひろがる場所に建つ。趣味でマリンバを演奏されるクライアントから
は、ミニコンサートや皆で集うことができる週末住居的な使い方が求め
られた。川側に対しては川の持つ水平性を、背後の山側においては杉が
強調する垂直性を、それぞれの面における造形的な根拠として抽出した。
ここから、賀茂川に面したファサードは低く抑えた軒先の水平ラインが
輻輳する構成とし、山と対応する２階の外壁は、垂直線を強調する杉板
の縦貼りとした。風致地区規制による道路に面した外壁のセットバック
を利用して、その軸組を１階まで貫通させることにより、構造的な安定
性を確保しつつ２階へのアプローチとなる回廊をつくりだした。また、
この部分は床レベルを３０ｃｍ上げて外部のデッキと連続させることで
リビングコンサート開催時にはベンチとして機能するとともに、平時は
囲われた落ち着きをリビングに生み出すことを意図した。風致規制から
外壁は直交する構成が求められたが、内部においては雁行して連続する
ワンルームの形態が生み出す斜め方向の視線の抜けに着目し、それを水
平・垂直の双方に仕込むことで動きの感じられる空間体験を生み出して
いる。漆喰の外壁、母屋や垂木を現した屋根といった伝統的な要素を用
いることや、オーディナリーな外観のプロポーションを整えることで、
普遍性と現代性を併せ持ちながらこの場所に根付く建築を目指した。
■計画地 ：京都市北区
■構造・規模：Ｗ造・Ｆ２
■建築面積 ： ９１．０９㎡
■延床面積 ：１４６．３１㎡
□設計期間 ：H.２９．０３ ～ H.２９．１１
□工事期間 ：H.３０．０１ ～ H.３０．０７
ＷＯＲＫＳ